これはノートが作られる中紙の原紙ロールが生産を終えた状態です。芯に少量の紙がまだ巻き付いています。どれも真っ白でキレイな紙で、とてももったいなく思えますが、巻き芯に近いほど紙のカールが強まり、ノートの中紙としては使用できません。工場では、どうしてもこのような「余った部分」が生まれてしまいます。

もともと、中紙の原紙ロールは直径が1.2メートルの大きなもので、これ1本分でB5サイズのキャンパスノートがおよそ4,700冊生産されます。とてつもなく大きくて、重くて、そして長い。この姿を見る度に「どんな人がどれだけのノートを使っているのだろう・・・」と、ついそんな思いが頭を巡ります。

原紙ロールに罫線を印刷し、その印刷濃度や罫線の表裏位置合わせなど調整するのに、このような中紙だけが抜き取られた束が生まれます。製品になるまでにたくさんの紙を使用して、品質を高めていくのですが、これが製造ラインごとに、さらには製品ごとに生まれるのでたった1日でもかなりの量になります。

このように、工場の日々の生産から生まれる損紙や製品に使用できない原紙の余りの全ては、新たな再生紙として生まれ変わります。私たち「となりのひきだし」でも製品を包む梱包材として利用しています。お手元に品が届き、箱を開け、「あれ?これはノートの罫線?」と思われたら、一度広げてみてください。ノート2冊分または3冊分がタテにつながった状態で、それが1冊のノートになる前の姿です。

ノートになれなかった紙たちも、何だか愛おしい。

使えないものが使えるものに。

工場にはそんなお宝がまだまだありそうです。