その空間は涼しいのに、それは、ヨシの未来を感じる、熱い展示でした。

行ってきた・・・見てきた・・・感じてきた・・・

何と言うのが一番しっくりくるのか、未だに言葉が見つかりません。

ヨシを使った空間インスタレーションに浸ってきました。

「BIWAKOビエンナーレ2022」プレエキシビジョン『内湖』

会期:2022年2月11日〜3月21日(現在も展示中です)

会場:近江八幡まちや倶楽部(滋賀県近江江八幡市仲屋町中21)

料金:無料

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空間設計/大野宏(Studio on_site )

ヨシストランドボード開発発・生産/滋滋県立大学永井拓生研究室、早稲田大学山田宮土理研究室、株式会社エスウッド

色んなお店が数多く入る元酒蔵の「まちや倶楽部」、

それぞれの個性あるお店を過ぎ、奥の奥へと進みます。

きっと何もなければがらんとした、蔵特有の少し空気が冷たく感じる、

静かで薄暗い空間に、それはありました。

風に、水に、悠々とたなびかせたようなその作品『内湖』は、

私たちが知っているヨシの姿ではありませんでした。

一本一本が細く、背が高く、中は空洞で、すこし頼りのないあのヨシが、

こんなにも堂々と空間全体を巡り、幾重にも重なりを見せ、

一歩踏み入れば、ヨシの隙間からもれ輝く光が、見る人を包み込むような、

その空間を、空気を一気に纏うような、作品です。

さて、このヨシボートですが、開発者の一人である

滋賀県立大学環境建築デザイン学科の永井さんによりますと、

ヨシを細かく割いたものを接着剤と撹拌してプレスで固めているそうです。

しかし、そのヨシを割く行程がなんと手作業。て?手作業!?

え、これ全部手作業でしたの・・・!!!?想像しただけで気が遠くなります。

何か良い方法がないか、我々も(勝手に)ヨシ仲間として頭を捻っております。

ヨシボートをよく見ると、穂の部分もそのままにボードになっています。あら、素敵。

ヨシは元々、葦葺き屋根や葦簀(よしず)などの建材に使用されていたのですが、

ライフスタイルの変化や、輸入品の市場参入により、日本のヨシは使用が激減しました。

しかし、このヨシボードを見て、ヨシが再び建築材として復活できるのではと、

期待がどうしたって膨らみます。どうしたってね。

企業展示会の度に、ヨシをああだこうだと四苦八苦しながら展示してきた私たちは、

ヨシのこの壮大な変身と、これらを作られた方々の苦労とガッツに、拍手をおくりたい。

ものすごいもの見せてくれてありがとう!

ヨシの新たな未来を見せてくれてありがとう!